市川の著作物紹介(小説以外)


製作・著作:トラヴュランス
原画:天織龍樹
シナリオ:市川創士郎
メディア:CD-ROM1枚
OS:Windows95/98/Me
音声:なし
標準価格:8800円+税
発売:2000年12月22日

製作・著作:トラヴュランス
メディア:DVD-ROM1枚
OS:WindowsXP/Me/98/2000
  日本語版に完全対応した機種
音声:あり
標準価格:8800円+税
発売:2002年05月17日
ぼくの巫女神さま−My Dear Medium Goddess−
 俺にとって、本作が20世紀最後に発売された作品となった。
 2000年初頭、辰巳出版のネオ・ノベルズ休刊のショックから脱しきれていない時に、「やってみないか?」と声をかけられて飛びついたんだ。休刊騒動がなければ、ひょっとしたら受けなかったかもしれないと思うと、「人間万事塞翁が馬」という言葉を改めて感じずにはいられない。
 しかし、初めてのゲームシナリオの仕事ってことで、えらい難儀した。なんと言っても、ゲームとしては決して長くないあのボリュームのシナリオで、書き上げるのに7ヶ月もかかったからな。
 ただ、この頃はちょうどある人のトラブル(俺には直接関係ない)に巻き込まれてしまい、時間はもちろん精神的にもかなり参っていたため執筆ペースが上がらなかった、という事情もあるが。
 とにかく、あまりにも時間がかかりすぎた上に、ちょっと短めの小説3冊分にもなろうかという凄まじい文量をまとめて目にしたときには、自分で書いておきながら目眩を起こしてしまった(^^;;; いや、マジで。これだけ書いていると、さすがに誤字脱字はもちろん文章の書き忘れまであって、見直し作業も死ぬほど辛かったね。
 俺としては、直せるところは可能な限り直したつもりだが、実のところ誤字がポコポコと残っていたり、茜が○○○○で密かに悩んでいるといった描写など、活かしきれなかったり使い忘れた設定などが出てきて、後悔も少し残っている。
 さらに、文量の膨大さもさることながら、一番辛かったのは「各キャラクターのエッチシーンを書くとき、主人公を童貞に戻さなくてはならなかった」ってこと。何しろ、同じ作品で同じキャラクターでありながら、基本的に1つのエッチシーンを書き終えると頭をリセットして、また童貞君の戸惑いみたいなのを考えなきゃいけない。これは、小説でエッチシーンを書くより遥かに苦痛な作業だった。
 とはいえ、小説と違って色々な結末を作れるのがゲームの魅力で、各キャラクターそれぞれに思い入れがある。通常、小説では登場人物を絞り込んだり、メインヒロイン以外は扱いを軽くしたりせざるを得ないのだが、その制約がほとんどなかったのは大きい。苦労もでかかったが、思い切ってやってみて良かったと思っている。
 さて、実は本作のプロットやキャラクター設定は、事前に先方から提示されており、原則として俺はその細部に自分なりの解釈を加えただけで、執筆を開始した。キャラクターの名前に関しても、あらかじめ決まっていたため、途中変更は不可能だったのだ(^^;;; そのぶん、設定的に俺の癖みたいなものがなくなるなど、我ながらちょっと新たな境地を発見できた気分だったりする。
 もっとも、実際にゲームになったときには、細かいところでシーンの差し替えや追加があったり、ストーリーの流れ的にこっちの意図から大きく変更された部分もあって、プレイしてみたら全面的に「俺が書いた物語」と胸を張って言えなくなったのだが。まぁ、これは描き上がった絵とシナリオの差異などを考慮すれば、仕方がないことだろう。テレビアニメでもよくあることだが、演出段階での変更ってヤツだからな。これに文句を言っていたら、共同作業なんてできないよ。それに、変更されている部分も、大局に影響のあるものではなかったからね。
 なお、名前のある女の子が全員攻略(エッチ)可能ってーのは、当初からの予定通り。Hの回数については、原則1人1回(彩乃と碧はサービス(^^;)ってことで、トラヴュランス作品としては控えめ。そのため、この点に関してはやや不満の声があるようだ。が、そのぶんHシーンの1つ1つは、リキを入れて濃厚に書いたつもりなので、これについては作品の性質ということで勘弁してもらいたい。
 シナリオ的に、当初予定から一番大きな変更が加わったのが、彩乃シナリオ。これ、本来は「亨が彩乃の下僕みたいになって……」という、純然たるバッドエンドだったんだよね。ま、ルートの入り方からして、いかにもって感じだろうけど(笑) それが、どうしてラブラブエンドになったのかと言うと、トラヴュランス側からの要望だったりする(^^;;; スタッフには大人の色香に弱い人が多かったらしく(^^;、「バッドエンドは忍びない」という声が噴出(?)し、ラブラブ・エロエンドに切り替わったのだ。あ、ちなみにああいうエンドを提案したのは俺(笑) 先方の提示してきたものでは、「亨に甘える彩乃」って感じの単なるラブラブエンドだったんだけど、「それじゃ、他のキャラと一緒でつまらん」と俺が思いっきりエロくしてしまったのである(^^;;; 実際にプレイしてみたら、さらに変更が加わってラブラブ要素も入っていたが、あれはあれでいいだろう。
 ところで、初回特典は恋愛祈願キーホルダーなのだが、なにしろ独身でカノジョもいない俺がシナリオを書いた物語なんで、御利益はまるで期待できそうにない(^^;;; 萌葱ちゃん、人様よりも先に俺に御利益をくれっ!!(←魂の叫び(^^;;;)
 そうそう、一部では本作タイトルについて、某社の似たタイトルを意識して云々と言われているようだが、このタイトル自体は俺が話をいただいた時点(2000年の年頭)で決まっていた。もっとも、初期タイトルは「僕の巫女神様(仮)」だったんだけど(^^;;;

攻略記事:PC-Angel2001年3月号、BugBug2001年3月号、攻略電脳idol(?) 

2002年05月19日(日)
 2002年05月17日(金)に、同じ天織さん原画の「南国あばんちゅ〜る」と組になり、さらに音声まで追加された「巫女神あばんちゅ〜る」が発売された。
 中身を確認したわけではないが、おそらくゲームの内容そのものに変更はなく、単に音声が加わっただけだと思う。まぁ、音声付きだしゲーム2本が入っているので、今から買うならこっちがお得だろうね。
 ただし、これをプレイするにはDVD-ROMドライブが必須。また、普通のDVDプレイヤーやPS2、X-BOXでは動かないので勘違いしないでもらいたい。
 ちなみに、「巫女神さま」のおまけゲームである、新作「巫女さんは幼妻」のシナリオを書いたのは俺ではない。俺が担当したのは、あくまでも「ぼくの巫女神さま」のみである。とりあえず、本編のエッチシーンの少なさに不満があったら、「幼妻」のほうをやってみたらどうだろう? どうやら、こっちはエロエロ街道まっしぐらのようなので(^^;;;
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製作:Parthenon
原画:かり〜な
企画・脚本:市川創士郎
メディア:CD-ROM1枚
OS:Windows98/98SE/Me/
2000/XP
音声:風音
標準価格:1500円+税
発売:2005年01月29日
cohabitation(コハビテーション)〜押しかけ女房はお姉さん!?〜
 ゲームシナリオとしては2作目になる。
 もともと、「姉ゲー」ということで企画を作るよう依頼され、つい「幼なじみのお姉さんとラブラブ同棲生活♪っていいな」なんて考えたのが、発想のキッカケ(^^;
 その後、企画からチャート、シナリオの本文まで俺が一人で全部作成した。
 「巫女神さま」のときには、実は緻密なチャートなしで原稿を書いたので、がっちりしたチャート表を自分で作ったのはこれが初めてだったりする。まぁ、苦労はしたのだが、どうにか「本当に初めてチャートを作ったの?」と言われるレベルのものはできた。
 実は、最初のチャートはもっと複雑で、バッドエンドもギリギリのところで回避できるくらい選択肢があった。しかし、「もう少しボリュームを減らしてくれ」と指示を受けて選択肢を削り、その後も何点かシーンの削除や修正を行なって現在の形に収まったのである。
 それにしても、エクセルはテキスト枠内の検索や置き換えができないから、シナリオの番号を思いきって変更したときには苦労したわ。けっきょく、全部直したつもりだったのにチェック漏れがあったりもしたし……。
 シナリオの作成自体は、あまり大きな苦労はなかった。久しぶりのゲームシナリオ、しかも音声付きを前提にしたものを書いたのは初めてだったから、ちょっと手こずった部分はあったが。また、プロデューサーをしていただいた水戸ともや氏から的確な指摘をいただき、それらを修正したことで完成度もそれなりのものになったと思っている。やっぱり、こういう作業は一人でやるもんじゃないのよ(^^;
 ちなみに、「妊娠→子育てエンド」なのだが、実はボリュームの問題等々を感じていて、元々はボツにしようと思っていた案だったりする。それでも、一応は企画書に書いておいたら、「これも使いましょう」ってことになって、正式なエンドとして採用された。やっといてみるもんだねぇ(^^;;;
 ヒロイン・紗奈絵の声は、風音さんが担当。音声収録の現場にも初めて立ち会い、プロの声優さんの演技に圧倒されてしまった。ホント、すごかったよ。それに、音響さんのチェックの鋭さも目の当たりにして、感心することしきり。
 ついでに言うと、実際に声を入れてもらって、俺は己の未熟さを思い知ったわ。書いているときは気づかなかったが、いざ全体の流れで声が入ると、「ああすればよかった。こう書いておけばよかった」などという後悔の念が次々に湧いてきてしまったよ。拙いシナリオで、風音さんにはご迷惑をおかけっぱなしだった。ま、後悔先に立たずだけどな(^^; しかし、貴重な経験をさせてもらったと思う。
 とにかく、同人ゲームということでヒロインを紗奈絵一人に絞り込んだので、年上萌えじゃない人にはきついだろうし、ボリュームも定価8800円くらいする市販ゲームより少なめだが、値段の割には遊べる(抜ける(*^^*))ゲームになっているのではないか、と自負している。
 ところで、多分1度どれかのエンドをクリアしてからだと思うのだが、メニュー画面のある箇所をクリックすると、おまけシナリオが現れることに気づいた人はどれくらいいるだろう? それと、おまけ音声も3つ入っていて、おまけシナリオではそのうち2つを聞くことができる。気づかなかった人は、探してみてちょ(^o^;
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介護の星 熱闘編 マンガでわかる みんなが元気になる介護の基本

監修:三好春樹
画  :根本哲也
原作:市川智士
発売元:法研
定価:1200円+税
発売:2008年12月25日
 遥か以前に、「患者も医者も後悔しない医療」という本の原作部分を書かせてもらった縁とか、いろいろあって発生した仕事。最初に話をもらったのは、2008年の5月だった。
 短編では書いたことがあるものの、本格的な漫画原作をフルに書いたのは初めての経験である。
 さて、俺が普段どんなモノを書いているか知っている人は、あまりの方向性の違いに驚いたと思う。まさか、俺が介護漫画の原作を書くとは想像していた人など、誰一人としていまい。いや、俺自身もそうだったし(^^;
 しかし実は俺、次兄のこととか亡父のこと、また叔母のことなどがあって少しは介護の問題を身近に感じていたんだわ。そんなこともあり、仕事の話をもらったときにすぐ飛びついた。まぁ、もちろんこういう話を書こうと思っていたワケじゃないので、ほんの少しだけ関心を持っていたものが、たまたま仕事に結びついただけ。いやもう、「瓢箪から駒」としか言いようがない。
 さて、最初の打ち合わせでは、「元ヤンキーの介護士見習いか、エリートPTを使った話」とのことで、出版社的には元ヤンキーを推す感じだった。で、担当氏から「どっちがいいと思う?」と聞かれたのだが、俺はどちらも捨てがたかったため、「いっそ、両方使ったらどうでしょう?」とその場で提案。ようは、まるっきり正反対なタイプのキャラなので、両方出せば思想信条を含めてドラマを作りやすいと瞬間的に判断したワケだ。
 結果、俺の提案が聞き入れられて、両キャラクターを出した話を作ることになった。
 ただ、プロットの第一稿では確か俺はエリートPTを男にしていたんだが、「女性にしたほうがいい」という担当氏の提案で、これは変更。
 ちなみに、「真希」となっているヒロインだが、俺はシナリオの完成稿まで「佐希子」の名前で書いていた。見本を見てから変更に気づいたので、向こうの判断で名前を変えられちゃったんだなぁ。
 プロット段階の大まかなストーリー自体は、そう苦労することなく書けた気がする。基本的に、監修の三好春樹先生の本などを読んで、どんなエピソードをアレンジするかを考えた感じなんで、とっかかりはあったワケ。その意味では、ゼロから書くよりは楽だったかもしれない。
 だが、本編シナリオを書くのには、とんでもなく苦労した。
 まず、なんと言っても時間の問題。最初は、10月発売を目指すなんて話で、とにかくスケジュールがとんでもなくタイトだった。なにせ、本来なら2週間欲しいところを1週間で、1週間欲しいところを3日で、みたいな感じで言われたから、もう大変よ。しかも、小説の仕事も平行してやっていたから、ますます時間が足りない。それでも遅れることなく原稿を書いたんだから、我ながらよく頑張ったと思う(^^;
 だいたいさ〜、たまたまなんだけど、俺がバタバタしているときに原作シナリオの修正やらなんやら入って来て、時間があるときにはなぜかこっちも動きが止まる、という感じで、作業中は必ず何かの仕事とバッティングしていたからな。今から思うと、よくあの慌ただしい状況を乗り切ったもんだわ(^o^;
 それと、大まかな話を決めていたものの、如何せん実際の介護の現場を知らないだけに、細かなエピソードがどうしても思い浮かばなくて、セリフとかそこらへんでも行き詰まりを何度も感じたよ。
 そんなときに、担当氏らと三好先生の講演を聴きに行って、そこで様々なヒントを得た。で、木村のじいさんのラストエピソードなんかを思いついた次第。最初は、死ぬのを吉田のじいさんにしていたんだが、木村のじいさんに「頑固者」という性格設定を与えた時点で、「これなら死ぬのは木村のほうがドラマとしていいや」と思って変更した。結果としては、いい感じにできたと思うのだが。
 あとは、「消極的自殺」に話を収斂させていくという点がなかなか上手くいかなくて、何度か書き直すことになった。結果、木村の息子を出すことで話に深みを持たせて、なんとかできた感じだけど。
 そして、何より苦労したのが枚数。色んなエピソードを欲張って入れた結果、漫画のネームにしたら予定の2倍くらいの枚数になったらしい。結局、いくつかのエピソードを削ったり、ラストを俺が書いたシナリオから変更したりといった感じで、本のような形になった。
 いやね、俺も枚数オーバーだという意識はあったし、「エピソードをふくらませろ」という担当氏に「枚数オーバーしますぜ」と散々言ったんだ。案の定だったわ(^^; ただまぁ、とにかくこっちでは完成稿提出の時点で、もう削れないってところまで絞っていただけに、削るのは担当氏と漫画家さんに任せたわ(^^;
 とりあえず、本編を見たとき風呂のエピソードが1コマにまでカットされていたのに驚いたが、確かに他のエピソードに比べれば重要度が低いだけに、「なるほど」と思ったね。
 苦労は多かったが、これまで俺が書いてきた作品とは一線を画す内容のものができて、自分でも一皮むけたような手応えを感じる仕事ではあった。
 ちなみに、「介護の星熱闘編」というタイトルは、全面的に法研サイドで考えたものである。俺も、最初聞いたとき「マジですか?」と思わず言っちゃったくらい(^^;
 それにしても、「熱闘編」ってことは続編もあるのかなぁ? やれたらいいなぁ……(^^;
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